日本体育学会の体育社会学専門領域ホームページ

代表あいさつ

体育社会学の独自性を考える

体育社会学専門領域代表 菊 幸一

 このたびの役員改選で、伝統ある日本体育学会体育社会学専門領域の会務を代表して任されることになりました。「伝統ある」と言うのは、1950年に日本体育学会が設立され、それとほどなくして体育社会学専門分科会が立ち上げられて以来、この分野の研究・教育を牽引してきた歴史的事実によります。当初は、東京教育大学体育学部教授であった竹之下休蔵先生が先導役となり、その後、菅原禮先生、粂野豊先生、佐伯年詩雄先生などが会長としてこの専門分科会の発展に尽くしてこられました。そして、21世紀を前後して体制の中心は、(歴史は前後しますが)鹿屋体育大学の川西正志先生、日本体育大学の森川貞夫先生、神戸大学の池田勝先生、山口泰雄先生等に引き継がれ、その会務の責任と執行体制は全国的に広がっていきました。

 そのような歴史的経緯からみれば、今回の改選では「先祖返り」というわけではありませんが、その中心が再び東京(関東)に戻ってきたということになるのかもしれません。その意味は、もちろんかつての「再生産」で良しというわけではなく、新たな体育社会学の方向性を会員の皆さんとともに考えていくもの(「創造」)でなければならないと感じています。

 新たな方向性を考える上で重要なのは、1)その土台(体制)をどのようにつくっていくのかと、2)その内容の独自性をどのように創造していくのか、の2点であると考えています。

 まず1)については、すでに日本体育学会が平成24(2012)年3月に新公益財団法人である「一般社団法人」として改組・認可され、これまでの「専門分科会」が「専門領域」に改められた事実を重くとらえる必要があります。もちろんこれまで保障されてきた「分科会」としての独自性は何ら変わりませんが、これからの「専門領域」では組織上、日本体育学会の目的や会務に沿いながら各専門領域研究の「公共性」「公益性」が、より一層重視され、評価されるということになります。その意味から、領域の会務執行にあたっては、日本体育学会の方針と矛盾をきたさない方向性が求められるとともに、領域会員に対して領域内の意思決定が、これまで以上に常にオープンであり、適正なものでなければなりません。そのような考え方に立って、新執行部(事務局長:松尾哲矢会員)では各委員会体制の充実と領域規程に基づくより一層公平・公正な会務執行をめざして、領域規程関係の大幅な見直しや再整備を行っているところです。

 また2)については、とりわけ「スポーツ社会学」との棲み分けや関連性をどのように考えるのかが課題となります。体育社会学が学問(学術的パラダイム)として成立していることが、単なる対象の独自性だけなく「体育学」と「社会学」との関係、あるいは「教育学」と「スポーツ科学」との関係といったディシプリンの相互関係からどのように意識され、その成果の独自性を導くことができるのかということです。これは、極めて古くて新しい問題ですが、このような課題を単なる概念遊戯や概念操作の問題としてとらえるのではなく、体育という営みの社会的意義や価値が自らの依って立つ職的基盤とどのように関連するのかを意識しつつ、この分野の研究の可能性や限界をどのように問い続けるのかに関連するものとしてとらえていきたいということです。多少抽象的な言い方になってしまいましたが、社会全般にわたる体育的機能の功罪を冷静に観察し、分析し、解釈し、説明していく分野は、体育社会学において他にありません。

 今後2年間の任期で、どの程度のことができるのかわかりませんが、会員の皆さんの幅広い協力を得て、少しずつ前進していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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